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更新日:2010年11月30日
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「未来に輝く子どもたちのために~家庭教育やしつけ、子育てのヒントに~」(抜粋)
平成12年3月 栃木県教育委員会
今、家庭教育は
「家庭の崩壊」とか「家庭の教育力の低下」などが叫ばれて久しくなります。この間、事件が起きると種々のデ-タ-が提示され、適切な解説がなされたり、問題に対して解決策としての模範解答が出されたりしました。しかし、その解答については、建前論にすぎるとか、見方の違いなどと賛否両論、評価もまちまちです。したがって「家庭教育」については、価値の多様化の中で、騒々しく、雑然としていて、迷っている、模索の段階というのが現状でしょうか。
しかし、学校教育の改革の過程で“ゆとりの中で生きる力を育てる”を合言葉に子育ての目標が明確に示されたことも時宜を得て、子育ての目標「自立」がほのみえてきて、模索段階から一歩前進の明るさがでてきたように思います。
家庭教育の目標“本物の自立”を育てる
家庭教育の目指しているものは、いよいよ時期が熟した時、仕方なく、なんとなく巣離れするのではなく、自ら理想をもち自分の道や人生を自分で選び取って、希望に満ちあふれて巣離れすることだと思います。
例えば、人生の道に迷ったり、ゆきづまりを感じたときに両親の適切な情報が得られるとか、納得できる知恵のアドバイスがあるとか、問題をのりこえる技術による道案内が必要で、それが子どもの支えになって自立していくのです。
* 親と子との信頼関係の上に成り立つ
家庭教育の担い手の中心はもちろん両親です。
親は生物的、運命的、血縁的に子どもと結びついていて子どもの育つ瞬間、瞬間を共有しています。乳幼児の場合は、特に両親の全面的な庇護(ひご)のもとに成長、発達していきます。したがって、幼児期では両親、特に母子間の基本的な信頼感が芽生え、形成されていきます。この信頼感の質が自立の基盤になり、社会化への出発点になります。
また、情報、知恵、技術は親と子との信頼感の上に成り立っています。長じて子どもの巣離れの時期には、人生の先輩、社会人としての父親の厳しい、しかも愛に満ちたサポ-トが必要です。しかし、いずれの場合にも日常的なごく自然に築き上げられてきた親と子の信頼関係が根っこの部分にあることが前提になります。
* 一人の人として子どもと出会う
家庭教育の仕方とか、しつけの大切さなどを問題にする時につい大人が考え違いをしてしまう子どもの見方があります。
子どもは幼く、可愛く、親にとっては最愛の対象です。この思いが結果として、親が“子どもを支配する存在”とみてしまうという点です。子どもは子どもだけの未知の世界をもった独自の人間です。これを「こども界の人」と呼んだ人がいますが、人格をもった一人であることは自明のことです。したがって、親も子どもの世界に人間としてふれて、子どもから教えられ、学び成長していくのだと思います。
子育てを楽しむ
子育ての道すじは両親の生涯をかけての真剣勝負であり、人生をかけての大仕事でもあります。この責任の重さに子育てを楽しむゆとりがもてない、子育てがきらいだと言う人もでています。しかし実際はどうなのでしょうか。角度をかえてみると、また、工夫してやってみると子育てほどやりがいのある楽しいものはないように思われます。
庭仕事の仕事ぶりに子どもの成長をみる喜び、食卓での気の利いた会話に子ども独自の世界を知ってその世界の中をともに楽しむなど、子どもとともに生活を楽しむゆとりをつくれば、子育てもまた楽し、ということです。
今後の課題
新しい社会に共通なものの見方、考え方にたった行動の規範や生活習慣をしつけという視点で考えることが必要です。その上にたって、「いい自画像をもたせる」「自分の意見がもてる」などの発達の過程やその育て方を考えていきたいものです。
親の役割
私たち人間の子どもは、生まれながらに一人で生きてゆく能力を何一つ与えられていません。したがって、誰かに依存していかないかぎり、生きていくことのできない存在です。
<「保護」「世話」「育てる」>
親の役割とは、子どもが自立する時まで「保護」を与え「世話」し、そして「育てる」ことに他なりません。この様な親の役割があってはじめて、子どもの発達が保証されるのです。つまり、子どもは、「この世に生まれてきて、生きていけるかとても不安だけれども」親がいてくれるから「安心して生きていける」と感じることができるのです。こうした安心感があるからこそ、成長の過程で遭遇する様々なる困難をも乗り越えていくことができるのです。
<健全な心の発達>
子どもの心が健全に発達するためには、日常生活の様々な体験を通し、「この世は生きるに値する」、「自分はかけがえのない存在だ」と実感できる。つまり、自分の周りの世界に対する「基本的信頼感」と自分自身に「自己肯定感」や「自尊心」を持てることが必要条件となります。こうした心の核ともいうべきものの基礎は、親との関わりから生まれるのです。したがって、親の役割が欠けると、子どもの発達は歪められてしまう可能性があります。もし、保護や世話が極端に欠けると、身体の成長すら阻害されてしまいます。当然、情緒の発達は阻害され、知能の発達も阻害される可能性があるのです。
親の自覚
誰でも親になれば、親としての自覚が生まれ、親の役割を果たせるようになるのかというと、必ずしもそうではないようです。
<親になるには>
例えば、「母性」というものを、本来女性は誰も持っていて、母親になると自然に生じるという考えは、どうやら科学的には正しいとはいえないようです。多くの研究は、周囲からよく支えられている母親は、孤独でいる母親より、母乳の量や赤ちゃんに働きかける量が明らかに多く、いわゆる「母性」が豊かであることを明らかにしています。また、自分が子どものころ、親から十分な保護と世話をされてこなかったと感じている親は、親としての自信が持てず悩むことが多いこともわかってきました。つまり、子どもを持つだけでは親にはなれません。親となるためにも、周囲から支えられたり、自分自身に安心感が持てることが必要なようです。
<孤立しない>
したがって、子育て中は、家族、親類、近所からできるだけ孤立しないことが大切です。親類や近所付き合いの苦手な人は、できるだけ気の合う友達や仲間を持つことです。
また、親から十分な保護や世話を得なかったと感じていて、親としての自信が持ちにくい人は、まず、自分自身を受け入れていくために、誰かに理解されることが必要です。できるだけ同じ体験をもつ仲間と出会い、お互いに理解し、支えあえることが大切です。(そういう人は、けっして少なくありません。アダルト・チルドレン=「AC」という考え方もあります)
いずれにしても、「子育て中は孤独にならない」ということが、重要なことです。
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