重要なお知らせ
更新日:2023年3月9日
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講演 事業場における「治療と仕事の両立支援」について
講師 (独)労働者健康安全機構 栃木産業保健総合支援センター
両立支援促進員(保健師) 山口 由貴子 氏
継続的な治療が必要な病気に罹患することは、就労世代にとっても身近な問題である。例えばがん患者の3分の1は70歳未満であり、がん患者へのアンケートでは、80%以上が仕事を続けたいと回答している。しかし実際は勤務者の34%が依願退職又は解雇となっているのが現状である。
少子高齢化により就労世代が減少し、新たな社員の雇用が今後一層厳しくなっていく中、病気を抱えながらも働く意欲・能力のある社員が治療をしながら働き続けられる環境を整備することは、企業にとっても重要な課題である。
しかし89%以上の企業においては、社員が私傷病になった際、当該従業員の適正配置や雇用管理等について対応に苦慮しており、その内容として最も多いものが「病気や治療に関する見通しがわからない(60%)」、次いで「復職可否の判断が難しい(51%)」となっている。
就業措置や配慮を検討する際の主なポイントは以下のとおり。
・慌てず、決めつけず、本人の希望をよく聴く
・病状や治療内容について就業措置の根拠となる情報を集める
・上司や産業医の意見を聞き職場の納得感を得る
・本人と現場や関係部署の調整をする
・就業措置の期間を区切り、状況に応じて修正する
「何を制限するか」ではなく「今の条件で無理なく働いてもらうには」と考えた方が配慮のアイディアが出やすい。普段から公正なルールを検討しておくべき。
また、普段から両立支援を行うため、以下の環境整備を行っておく。
・両立支援の基本方針等の表明と従業員への周知
・社員研修等による両立支援に関する意識啓発
・相談窓口の明確化
・時間単位の年次有給休暇・傷病休暇等の休暇制度、短時間出勤制度・在宅勤務制度等の勤務制度の整備
こうした環境、仕組みが整っていなくても、継続して治療が必要な病気にかかる社員は発生する。事前の準備が大切である。
上記の準備や実際の両立支援の進め方についてお困りの際には、栃木産業保健総合支援センター(028-643-0685)に御相談されたい。
最後に、治療と仕事の両立支援は本人の申し出があって初めて支援が可能となる。事前に環境整備をすることでコミュニケーションが取りやすい職場を目指していただきたい。
個別相談会
事前申込みのあった2社に対し、状況を聞き取りし今後両立支援を具体的どう進めていくかアドバイスを行った。
お問い合わせ
健康増進課 がん・生活習慣病担当
〒320-8501 宇都宮市塙田1-1-20 県庁舎本館5階
電話番号:028-623-3096
ファックス番号:028-623-3920