重要なお知らせ
更新日:2023年5月19日
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冷水病とはフラボバクテリウム・サイクロフィルムという細菌による感染症で、体表の微細な傷から感染し、感染したアユは体表や筋肉中に炎症を起こし、そこからの出血によって失血死します(Miwa & Nakayasu 2005)。また、死亡にまで至らなかったとしても、活性低下で釣れなくなります。解禁前後(水温17~19℃)での発生が多く、水温が20℃を超えてくると症状が治まってきます。
冷水病原因菌には、遺伝子型の異なる複数のタイプが存在し、それによってアユに対する毒性も異なる(アユの系統によっても異なる)ことが知られています。
そこで、2022年に県内河川で発生したアユの冷水病原因菌46株を調査したところ、7種類の遺伝子型が確認されました。さらに、解禁前あるいは解禁直後の発生では、1河川1種類だけでしたが、解禁後13日以降では複数種類(同じ川、同じ場所のアユから4種類の冷水病が検出された事例も)が検出されることがほとんどでした。
このことは、解禁後の冷水病の発生には、人やおとりアユの移動が関与している可能性を強く示唆します。
エドワジエラ・イクタルリ感染症は、エドワジエラ・イクタルリという細菌による感染症です。2007年に東京都、山口県、広島県で初確認され、その後、全国へと急速に広がり、県内では2012年に河川での発生が初確認されました。本菌の病原性は水温依存であることが特徴的で、感染実験では水温20 ºCではアユの死亡はみられないが、28 ºCでは95 %の個体が死亡することが報告されており(Nagai & Nakai 2014)、河川でも水温25℃以上の盛夏にアユでの発症がみられることが経験的に知られています。
2016年の那珂川で調査したところ、水温が25℃を上回ると、イクタルリに感染しやすくなり、友釣りで釣られにくくなることがわかっています(坪井ほか 2018)。
漁具や釣り具の消毒、おとりアユを他の河川に持ち込まないなど、まん延防止にご協力をお願いします。
参考資料:アユ冷水病対策のポイント((社)日本水産資源保護協会)
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