重要なお知らせ
更新日:2024年8月22日
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畜産学科では学生の実習教材としての乳牛・肉用牛約40頭を飼養しています。
お腹に4つの胃袋、特に第一胃という発酵タンク=熱源を抱える牛にとって暑さのダメージは人間以上で、夏はとてもとてもつらい季節です。毎日ミルクを作るために大量のエサを食べる搾乳牛では、24時間、体内発酵タンクもフル稼働です。
ドリーム牛舎にはインバーターファン(大型扇風機)が設置され爆風を送り続けていますが、ここ数年の“地球沸騰化”は設計時の想定を上回るものがあり、ファンだけでは牛の快適性を保つのが難しい時代になってしまいました。そこでこれに対処するため、歴代の学生が卒業論文で取り組んだり、牛のために自主的に設置してくれたりした、いくつかの対策を紹介します。
まず一つ目は、搾乳パーラーでの首元簡易散水です。令和2年度の2年生Kくんが卒業生Oさんの牧場を参考にして、なんと3,000円未満のローコストで作成してくれました。設置5年目の今夏も順調に稼働中で、“密です!”と言われそうなパーラーでの搾乳中も牛は快適そうな表情です。
二つ目は、同じ学年のTくん発案により初号機を設置した、フリーストール2つめの飲水槽、通称“コバヤシ水槽”です。搾乳牛のエリアには立派なステンレス水槽がありますが、給餌の後には毎回、水場を巡るオンナの戦いが勃発し、負傷者(牛)が出たこともありました。これに心を痛めた牛をこよなく愛するTくん、同級生Nさんの自宅牧場から酪農資材の空容器いただいてきたかと思ったら、校内にあった資材と組み合わせ、0円という超ローコストで簡易水槽を作成してくれたのです!この水槽はその後、数回の改造(失敗も含む)を経て今夏、ほぼ完成形の“黒若水槽”となりました。本家のステンレス水槽を凌ぐ人気を博しているこの水槽、ホースで水を入れる手間は必要ですが、牛たちの喜ぶ顔を見れば、そんな労力はたいしたものではありません。特に那須塩原で生まれ育ったシーちゃんに宇都宮の暑さは堪えるようで、毎夕の搾乳後、空いた時間をみはからって“水浴び”にやってきます。ここまで愛用してもらえるなら、来夏は牛用プールでも作ろうか…など妄想も膨らみます。
畜産学科では、これからもアニマルウェルフェアに配慮した“カイゼン”を続けていきます!
簡易散水装置で涼しげな搾乳風景(R2~)
“コバヤシ水槽(R2~)”で水を飲む二人