重要なお知らせ
更新日:2023年8月31日
ここから本文です。
JA佐野管内では、実需からの要望を受けて良食味多収品種「にじのきらめき」の作付が拡大しており、多収性の特性を生かし、飼料用米として転作にも活用されています。令和3年度にJA佐野では、国内の主食用米の需要減少等から海外に目を向け、輸出対象国における「にじのきらめき」の評価や収益性を確認するため、県単事業でテストマーケティングに取り組み、10.2tを香港へ試験的に輸出しました。その取組は、全農とちぎをはじめとする関係団体・機関、生産者の協力のもと令和4年度も継続し、15tが輸出用米として生産され出荷されました。
令和4年産輸出用米生産実績における収益比較
安足地域では、湿害に強く収益性の高い水田露地野菜品目の一つとして、さといも栽培を推進しています。推進に当たっては、令和3年度から、水稲のように生育期のほ場に水を流して栽培する「さといも湛水栽培」の実証を行っており、当地域においても、収量増加やコガネムシの食害軽減効果が確認できました。更に、令和4年度には、足利市と佐野市に設置した展示ほで、基肥に肥効調節型肥料を用いた施肥体系の実証を行った結果、省力的かつ湛水栽培に適していることが確認できました。7月25日に開催した展示ほ現地見学会では、26 名を参集し、湛水栽培の特徴を見ていただきました。研修会等開催の結果、来作の新規栽培希望者が現れており、今後、更なる産地拡大が期待できます。
さといも湛水栽培の様子
「安足地区農業者懇談会」は、青少年クラブ協議会をはじめとする安足地域の9つの農業者組織で構成されており、青少年プロジェクトや各組織活動報告、意見発表を通じて、青年農業者の育成と農業者相互の研鑽・交流を深めています。令和4年11 月に開催された発表会では、「高濃度炭酸ガス処理によるハダニ類防除の検証」など農業者の取組の参考となる発表をはじめ、農村生活研究グループやJA女性会等による活動報告が行われ、また、活発な意見交換により、他組織との連携強化が図られ、将来の地域農業を考えるよい機会となりました。
青少年プロジェクト発表
足利市においては、新規就農者向けに農地を確保するとともに、研修制度紹介や空き家情報とパッケージ化した情報を、令和4年度に開設した「とちぎ就農支援サイト「Tochino(トチノ)」」などに掲載して、人材を呼び込む取組を進めています。現在、露地野菜での新規就農者向け農地を紹介。また、近年、新規参入したいちご・露地野菜・トルコギキョウの青年農業者の就農までの話を紹介しています。今後は、新規就農者の就農における希望と現実のミスマッチを解消するため、就農前に農業士等から営農に向けた助言を受け、就農支援の強化を図ります。
研修中の様子
安足地区農村女性会議では、女性が活躍できる場を増やしていくため、農業委員や農地利用適正化推進員への女性登用等について、足利市と佐野市の市長、市議会議長及び農業委員会会長への要請を行いました。佐野市では、継続して2名の女性が立候補し、足利市でも2名の女性が立候補しています。同会議では、ジェンダーフリーの社会を目指し、今後も引き続き、土地改良区や農協理事への女性登用に向けた要請活動を行っていくこととしています。
足利市長・佐野市長への要請活動
佐野市の馬門・赤城地区で大区画ほ場整備が進められています。本年度は両地区で37.4ha の区画整理工事を実施しました。50a 以上の区画が整備され、担い手への集積・集約により効率的で収益性の高い安足地域の水田農業の実現に向け取り組んでいます。また、三栗谷2.地区の水路改修工事、安足地区の水路工事と道路工事など、併せて4地区で12工事を実施し地域の営農を支える生産基盤の整備・保全に取り組んでいます。足利市の百頭・県地区では、農地中間管理機構関連県営農地整備の計画策定を進めています。将来の地域営農についての話合いにより、土地利用型大規模経営と施設園芸の地区ゾーニングを設定し、事業計画説明会で意見収集を行いました。農地バンクを活用して担い手への農地集積、集約を加速し、競争力のある攻めの農業の実現に向けた整備計画を進めていきます。
地域での検討状況(百頭・県地区) ほ場整備工事の状況(赤城地区)
さのアグリツーリズム推進協議会では、農業体験や食・宿泊など地域資源を活用した取組を推進し、関係人口(農村ファン)の増加に向けて取り組んでいます。令和4年度は、補助事業を活用し、サポート付き農業体験学習を通年で開講し、全11 回の講座では農業者から指導を受けて自ら栽培に挑戦しました。参加者の中には今後も農業に携わりたいという意向の方が見られ、次のステップに向けた支援策を検討しています。また、佐野市南部の観光客を北部の地域資源へとつなげる試みとして、仙波地区むらづくり推進委員会と連携し、そば打ち体験と田舎遊びツアーが開催されました。首都圏から8組27名が参加し、イベントに参加後、周辺施設への周遊効果も確認できました。県では、引き続き協議会の取組を支援し、関係人口拡大による地域活性化に向けて取り組んでいきます。
サポーターの指導を受ける参加者 イベントの開催状況
足利市三和地区(中山間地、板倉・粟谷町)では、地域の主要な担い手であった集落営農組織が解散したため、遊休農地が拡大していました。地域の担い手は、高齢化のため規模拡大は困難であり、県外からの新規参入者は、営農技術の不足等により規模拡大ができない状態でした。そこで、遊休農地の解消と新規参入者の営農支援を目的として、関係機関・団体が一丸となり、新規参入者と畜産コントラクターとのマッチングや農作業分業化の提案を行ったところ、WCS 用稲を新規に導入して営農規模が拡大されるとともに、遊休農地7haの解消が図られました。今後は、営農相談の対応に加えて新規就農希望者への三和地区での営農開始を斡旋し、新規就農者の育成と更なる遊休農地解消を図っていきます。
畜産コントラクターによるWCS用稲の収穫
JA足利花き部会では、トルコギキョウの栽培を希望する新規参入者が増加しており、年々、トルコギキョウの出荷量と産出額が増加しています。令和4年度は、新たに3名の新規就農者が作付けを開始しました。当該3名については、令和2年度から部会と関係機関が連携し、就農相談や就農に向けた補助事業の活用を含む各種支援を行ってきました。就農後も部会主導の勉強会の実施や先輩生産者による新規就農者への栽培管理指導により、産地として新規就農者の早期定着に向けた支援を行っています。今後も新規就農者の早期定着による産地力強化を図っていきます。
トルコギキョウ栽培の勉強会
栃木県は、「環境負荷の低減」と「収益性の向上」を両立する農業生産を実現するため、「とちぎグリーン農業」を推進しています。安足管内では、令和4年度にいちご栽培で2件の技術を実証しました。足利市では、いちごの生分解性マルチの実証試験を行いました。生分解性マルチは、通常のプラスチックマルチと同様の機能を有しつつ、収穫後に土壌中にすき込むと、土壌中の微生物により水とCO2 に分解されます。これにより、作物収穫後のマルチはぎ取り・回収作業が不要となり、廃プラスチックの排出抑制に貢献できるほか、産業廃棄物としての処理費用も削減できます。
佐野市では、紫外線(UV-B)照射によるうどんこ病防除技術を実証しました。紫外線(UV-B)は、植物体に照射することで抵抗性を誘導し、いちごのうどんこ病の発生を抑制することができます。農薬を使用しないため環境への負荷が少ないだけでなく、農薬を散布する労力の削減にもつながります。今後は、導入コスト等経営面も含めて評価し、「とちぎグリーン農業」の一端となるよう推進していきます。
UV-B 照射の様子
令和4年6月に桃や農機具の盗難が発生したことから、佐野警察署を含む関係機関団体による「盗難防止に関する連絡会議」を開催し、盗難防止に向けて、迅速な情報共有や周知・報告体制を整備しました。農業者に対しては、安足農業振興事務所ホームページや佐野市・佐野農業協同組合からの各種通知等で防犯カメラやセンサーライト、注意喚起看板の設置、複数人でのパトロールなど、防犯対策の徹底を呼びかけました。また、栃木県農協中央会、栃木県警、栃木県による盗難防止に関する協定に基づき令和4年9月及び令和5年3月に栃木県警、佐野市、佐野農業協同組合、栃木県による合同パトロールを実施しました。
巡回パトロールの状況
令和4年10月18日、JA佐野研修センターにおいて、先端技術を搭載した農業機械の実演会を開催しました。認定農業者や農業士、土地改良区などの関係者約120 名参加の下、各農機メーカーによる自動操舵の技術やほ場管理システムなど各種農業機械等の説明をした後、会場敷地内で自動操舵システム搭載トラクターやコンバインのデモ走行を行いました。参加者からは「自動で動く機械を身近に見て、現実であることを感じた。」との声があるなど、これからの農業に必要な技術であることの理解が深まりました。佐野市内では、スマート農業機械の能力が最大限に発揮される大区画圃場整備を馬門地区や赤城地区で実施中です。今後は、更に地域で大区画圃場の整備を進め、効率的な農業を展開していきます。
自動操舵トラクター及びコンバイン
お問い合わせ
安足農業振興事務所 企画振興部
〒327-8503 佐野市堀米町607 安蘇庁舎
電話番号:0283-23-1455
ファックス番号:0283-23-5693