いちご学科独自の取り組みの中で、1年生を対象としたカリキュラムの一つとして、就農準備に向けていちご産地の「いま」を学ぶ「産地調査」を実施しています。学生が県内のいちご産地に赴き、各産地のJAの取り組みやいちご生産現場の現状等を4日間に分けて調査を行います。
6月3日に第2回として宇都宮市と真岡市で産地調査を実施しました。
宇都宮市の産地調査では、JAうつのみや(宇都宮農業協同組合) と株式会社鈴木いちご農園(宇都宮市下桑島町)を訪問しました。
JAうつのみやでは産地の概要に加え、いちごの就農支援について説明をいただきました。学生からは就農計画の作成に関すること、最近の新規就農者の栽培状況などについて質問が出され、JAからは「新規就農者が就農時に立てた経営目標を達成するためには、適期作業を着実に行っていくことが重要」と答えていただきました。
次に株式会社鈴木いちご農園を訪問し、代表取締役の鈴木啓介氏から現在の経営内容について、これまでの経過などを含めてお話しいただきました。
鈴木氏は就農時はハウス3棟(約9アール)から栽培を始め、その後、同じいちごを生産する両親と経営を統合・法人化し代表取締役に就任、現在、就農13年目で60アールまで規模を拡大してきました。学生からは就農後の労力確保や法人化のきっかけなど様々な質問が出され、鈴木氏は一つ一つの質問に丁寧に答えていただきました。学生からは「就農当初の忙しさや労働力のことなど具体的な事例を就農前に聞けて良かった、今後の就農計画づくりに参考にしたい」などの声が聞かれました。
真岡市の産地調査では、JAはが野(はが野農業協同組合)と株式会社ベリーズバトン(真岡市古山)を訪問しました。
JAはが野ではJAと芳賀農業振興事務所の各担当者から産地の概要といちごの就農サポート体制について説明をいただきました。学生からはJAの就農後のサポートに関する質問が出され、JA担当者は新規就農者を重点的に巡回する営農経済渉外員(ACSH(アクシュ))の存在を説明し、新規就農者から何でも相談を受けられる体制があると答えていただきました。
次に株式会社ベリーズバトンを訪問し、代表取締役の新井孝一氏からいちごの栽培管理と経営内容についてお話いただきました。
現在、ベリーズバトンの作付け面積は150アール(従業員30人)でその栽培規模は県内随一であり、今回その定植株を生産する親株ハウスの見学をしました。学生からは苗の増殖やその栽培管理方法など多数の質問が出され、新井氏からは栽培規模を踏まえた作業スケジュール、管理方法について答えていただきました。
また、現在の経営状況やいちごに対する考えなどについて聞かれると、「経営において最も大事にしているのはヒト。ヒトを大切にする根本が無ければ良いいちごは出来ないし、スタッフへの感謝、会社、いちごに対して愛があるかが重要」と述べられ、自身の思いを学生たちに伝えていただきました。学生からは調査終了後、「法人経営の目標ができた。経営者を目指す上で大切なことを考えさせられ非常に勉強になった。」という声が聞かれました。
今後、他の地域においても「産地調査」を行い、これらの経験を就農に向けた計画づくりの参考にしていく予定です。
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