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更新日:2025年3月27日

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カメムシ防除作戦・ 基本的な防除対策技術

水 稲

概 要

 近年、夏の気温が高く水稲のカメムシ被害が目立つようになってきました。令和6年産では、2等以下の格付けのうち斑点米カメムシの被害が約50%程度と大きな被害が発生しました。また、県の南部においてはイネカメムシにより斑点米の被害と不稔が発生し収量が150kg/10a程度まで低下しました。

 水稲の生育ステージも高温により1週間程度早まっており、また気温上昇で虫の発生が早まっている傾向があることから、従来の防除時期より早めの防除を心がけることが必要です。

 水稲のカメムシ対策は、その生息密度を少なくすることにつきますが、その方法は大きく、化学的防除と耕種的防除に分けられます。

被害を及ぼす主要なカメムシ類(斑点米を引き起こすカメムシ類)

 クモヘリカメムシ、ホソハリカメムシ、イネカメムシ、アカスジカスミカメ

被害の様子

カメムシ名 大型カメムシ類 小型カメムシ類

クモヘリカメムシ

ホソハリカメムシ

イネカメムシ アカスジカスミカメ
被害 籾殻を突き破る様に口針を差し込み、頂部や鉤合部に斑点を生じさせます。

籾の基部から口針を差し込むため、玄米基部に斑点を生じさせます。

出穂期に小穂や穂軸から吸汁するため不稔が発生します。

内穎・外穎の縫合部や籾の先端のすき間から口針を差し込み、玄米の先端や玄米の中央に縦長の斑点を生じさせます。
被害の様子 斑点米 斑点米2 斑点米3

防除対策技術

(基本的な考え方)

 イネカメムシ以外は、出穂前の除草等耕種的防除を行います。

 発生予察に基づき、イネカメムシを中心に共同・個人による薬剤防除の徹底を図り、効果的な防除を実施します。

(化学的防除)

 耕種的管理でカメムシ類を十分に抑圧できなかった場合や、加害主体がより大型種である場合には、本田での農薬散布が必要になります。侵入ピークの穂揃い期とその7~10日後、さらに発生程度により追加防除が必要です。

 イネカメムシは、出穂期に加害されると不稔が発生し、収量が著しく低下する場合があります。これを防ぐには、従来の防除時期よりも早い出穂期の防除が必要となります。さらに、基部斑点米を防ぐためには、出穂後1週間(乳熟初期)に有効な殺虫剤を散布します。

化学的防除

    図 これからの斑点米カメムシ類防除の防除

    (出典:農業総合研究センター環境技術指導部)

(耕種的防除)

 クモヘリカメムシやホソハリカメムシ等は、畦畔のイネ科植物が穂をつけると増殖しますので、出穂期の10~15日前に発生源を除草すると、カメムシ類個体数を抑圧できます。一斉に、広域で除草すると、さらに効果が高くなります。

 ただし、出穂期以降に除草すると餌場を失ったカメムシ類を逆に水田内に呼び込むことになりかねないので、注意が必要です。

 イネカメムシは、平地林などの越冬場所から水田に直接飛び込むため、斑点米カメムシ防除のために従来行っている畦畔の草刈りなどの耕種的防除の効果が望めません。ただし、イネカメムシの生態については不明な点も多く、今後の生態調査により有効な防除法が確立されるかもしれません。また越冬前の栄養源となる「ヒコバエ」の早期すき込みも有効です。

これからの検討事項

 これらの防除法を、より有効にするために、① 地域で品種や作期を統一する(いわゆるゾーニング)。 ② 地域全体で共同防除を行う。 ③ 機動的な防除を行うサービス事業体の活用や設立 などを検討していくことも必要です。

 また、今後の気候変動の進行によっては、これまでに被害を受けたことのないカメムシ類が発生することも考えられることから、発見した際には最寄りの農業振興事務所にお知らせ下さい。

大 豆

概 要

 大豆カメムシ類は、吸汁害の時期によって収量にも外観品質にも被害を及ぼすため、防除が必要な時期が長期間に及びます。令和6年産では10月中の気温が高かったこともあり、成熟期頃までカメムシ類を多く見かける年となりました。

 農産物検査結果によると、虫害粒による落等率は10%前後となっていますが、調製で篩い下となった扁平粒、奇形粒も多く見られるとの報告もあり、カメムシ類の影響はもっと大きいと考えられます。

被害を及ぼす主要なカメムシ類

 イチモンジカメムシ、アオクサカメムシ、ホソヘリカメムシ、ミナミアオカメムシ、クサギカメムシ、ブチヒゲカメムシ

被害の様子

 大豆の子実を吸汁加害し、収量および品質の低下を引き起こします。子実肥大初期の被害は子実の肥大が止まり、板莢や落莢に繋がります。子実肥大中~後期では奇形粒や扁平粒、虫害粒となり、特に後期の吸汁痕は選別で篩い上に残るため、等級落ちの要因になります。また、莢に穴を空けることから、腐敗粒の原因のひとつでもあります。

防除対策技術

(基本的な考え方)

 発生予察及び発生状況に基づく、薬剤防除が重要です。

 カメムシ類は8月中下旬から大豆ほ場に侵入し始め、9月中旬から10月中旬にかけて発生量がピークとなり、莢伸長期(開花15日後)~子実肥大中期頃(開花40日後)が最も防除が必要な期間となります。発生が多いほ場では、それ以降の防除が必要になります。

(化学的防除)

 開花期15日後頃から薬剤散布を開始し、その後10~14日ごとに散布します。

 ○共同防除の実施地域の拡大、回数増

 ○個人防除の徹底

  防除回数を増やす又は防除時期の見直し

  9月中下旬の防除を追加することが被害軽減に有効です。

これからの検討事項

 9月に入ると水稲の収穫作業の時期に当たるため、防除を行う余裕がありません。また、隣接ほ場が収穫間際の水稲の場合農薬ドリフトの可能性があるため、防除ができないなどの問題があります。

 大豆ほ場の集約化や隣接するほ場への水稲作付品種を晩生の品種や飼料用米等にするなど、9月中下旬の防除を可能にするための方策を検討しましょう。

 大豆ほ場を含めた周辺作物の薬剤散布や除草のタイミングなどを部会や地域内で情報共有することも防除には重要です。

 また、今後の気候変動の進行によっては、これまでに被害を受けたことのないカメムシ類が発生することも考えられることから、発見した際には最寄りの農業振興事務所にお知らせ下さい。

なし、りんご、ぶどうなどの果樹類

概 要

 果樹カメムシ類は、例年5月下旬~6月頃と7月下旬~9月頃に年2回の発生ピークを示します。

 最初のピークは主に越冬世代成虫が、2回目のピークは主に越冬世代から産まれた第1世代成虫が果樹園に飛来します。

 令和6年は、前年冬の気温が高く越冬個体が増加したことに加え、4月の平均気温が平年より高く、例年より早くから活動が活発化し、その後の被害に繋がりました(調査地点によって対平年比11~71 倍(5月))。

被害を及ぼす主要なカメムシ類

 チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシ

防除対策技術

(基本的な考え方)

 チャバネアオカメムシを中心とした果樹カメムシ類に対して、薬剤防除の徹底。

(化学的防除(対象:なし、りんご、ぶどう))

 発生予察の情報収集とともに、ほ場内(特に周縁部)の観察をこまめに行い、カメムシ類の飛来を確認したら薬剤防除を実施する。

発生予察の情報のみで薬剤防除を実施すると、過剰防除となりハダニ類やカイガラムシ類の天敵を減少させ、害虫の多発生を招いてしまいます。必ずカメムシ類の飛来を確認してから防除しましょう。特に、ピレスロイド系薬剤は、天敵への影響が大きいため多用を避けてください。

(物理的防除(対象:なし、りんごの多目的防災網設置園))

 多目的防災網の早期展張:開花期終了後直ちに展張し、カメムシ類の侵入を物理的に防ぎます。

これからの検討事項

 多目的防災網を設置することで、より効果的にカメムシ類の侵入を防ぎ、被害の軽減に繫がります。未設置の生産者の方々は、今後、果樹の安定生産、安定経営に向けて多目的防災網の設置を検討しましょう。

 果樹園を含めた周辺作物の薬剤散布などを部会や地域内で情報共有することも防除には重要です。

 また、今後の気候変動の進行によっては、これまでに被害を受けたことのないカメムシ類が発生することも考えられることから、発見した際には最寄りの農業振興事務所にお知らせ下さい。

露地なす

概 要

 露地なすでは、昨年、カメムシによる吸汁被害の発生が例年に比べ非常に多く、果実への被害は7月初旬から見られました。

 また、ほ場調査の結果、チャバネカメムシの発生が多いことが分かりました。

被害を及ぼす主要なカメムシ類

 チャバネアオカメムシ、ホオズキカメムシ、コアオカスミカメ

被害の様子

 果実が吸汁されると、変色や変形が起こり、ます。また新葉や茎や葉が吸汁されることで萎れ変形する等、生育に悪影響を及ぼし大きな減収につながる恐れがあります。

防除対策技術

(基本的な考え方)

 発生状況に基づき、適期の薬剤防除を徹底します。

(化学的防除)

 ほ場をよく確認し、発生初期に農薬を散布します。

(耕種的防除)

 ソルゴーや防虫ネットを活用し、障壁を設置しカメムシ類の飛来を防止します。

 ほ場を含めた周辺の除草を実施します。

これからの検討事項

 露地なすのほ場を含めた周辺作物の薬剤散布や除草のタイミングなどを部会や地域内で情報共有することも防除には重要です。

 また、今後の気候変動の進行によっては、これまでに被害を受けたことのないカメムシ類が発生することも考えられることから、発見した際には最寄りの農業振興事務所にお知らせ下さい。

お問い合わせ

経営技術課 技術指導班

〒320-8501 宇都宮市塙田1-1-20 県庁舎本館12階

電話番号:028-623-2313

ファックス番号:028-623-2315

Email:agriinfo@pref.tochigi.lg.jp

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