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更新日:2020年6月15日
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弊社は、宇都宮市の本社のほか、関東全域、福島県、宮城県、山形県にいたる地域において、業務用食材の卸売業を営んでいます。
主な取引先は病院や高齢者施設で、食材供給は人々の生命に直結していると日々感じています。このため、「病人や施設利用者等、災害弱者への食材供給責任を果たす」ことが我々の社会的使命と考えております。
意識するきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災です。栃木県以北の東北自動車道が利用できなくなり、営業所へ物資が届けられない状況に陥りました。被災2日後には緊急車両としての通行許可証を取得し、東北の被災地へ2tトラックで多くの商品と生活必需品などの物資輸送を再開しました。しかし、安定した納品ができる体制づくりを考えていかねばならないと体感しました。
緊急時に業務を継続すること、すなわちBCP策定に取り組まねば、と考えていた矢先、タイミングよく東京海上日動火災保険様に県で開催するBCPの作り方セミナーをご紹介いただきました。そこへ当社の社員が参加し、BCPに関する基礎的な情報を集めると同時にBCP策定支援プロジェクトを知ったことで、制度を利用してBCP策定に取り組むことに決めました。
取り組み始めたのは2016年6月からになります。
策定にいたるまでの期間は約10 ヶ月間を要し、その間、毎月1回程度のミーティングを開催し進めていきました。各部署からの代表メンバーと、私(金田社長)も参加しながら、自社にとって止めてはいけない「中核事業」の洗い出しを行いました。東京海上日動火災保険様にアドバイスを受けながら進めることができましたので、緊急時に想定される状況や確認事項等について、ポイントを絞りながら考えることができました。参加メンバーは、現場の業務経験もあり、かつ東日本大震災も経験しておりましたので、何を決めておくべきか、経験による内容の濃い話し合いができたと思います。
策定作業の中でのシミュレーションでは、非常時に想定される停電に対し、いかに電源を確保するかが重要だと確認しました。また、当社の核であるシステム(サーバー)を止めないことが、業務を継続する鍵であることに気づきました。
また、策定したBCPは本社だけにあっても実効性のあるものにはなりません。栃木県内外、全ての社員への浸透を図るためにも、「社員にとってシンプルで分かりやすいものであること」を意識するようにしました。本社以外の社員には、緊急時に何をすればよいのかをA4用紙1枚にまとめてあります。
策定を進める中で、自社の強みとして、栃木県以外にも営業所があり活動拠点が分散していることで、非常時には比較的被害の少ない地域拠点からの応援ができることに気づきました。その強みが新規取引先の開拓につながったケースがあります。そのお取引先様では、安定供給を最重点においていたようで、BCP策定や多拠点体制を高く評価いただき、既存取引企業からの切替をいただくことができました。
電源に関して、既に非常時でも電源供給できる自動車を4台導入しており、パソコンも数台を動かせる環境の整備を進めています。さらに2019年10月頃までに、本社にあるサーバーを、非常時でも電源確保が可能な耐震の場所に移動し、クラウド化によりバックアップ可能な環境に移行することを予定しています。
また、緊急時に社員との連絡をいかに早くできるかも課題でありますが、LINE WORKS等、様々なITツールがありますので、早く連絡できる方法の検討も進めていきたいと考えています。
今後の課題としては、社員への浸透も図っていきます。当社創立記念日には全社員が集まる機会がありますので、衛生管理同様に、定期的にBCPの意識付けができればと考えています。
BCP策定は自社の守りを強くするだけでなく、攻めを強くする効果もあると実感しております。
一度策定し、完成したからといってBCPは終わりではありません。適切に運用するための机上訓練や、今後も継続して見直し・ブラッシュアップしていくことで、より生きたBCPにしていきたいと考えております。
(策定に取り組んだBCP)
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経営支援課 中小・小規模企業支援室
〒320-8501 宇都宮市塙田1-1-20 県庁舎本館6階
電話番号:028-623-3173
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