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更新日:2011年1月28日

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大気の成分を調整する機能

 

・ 酸素の生成・二酸化炭素の分解と炭素の固定化

 地球に生きている植物の大部分を占める森林は、皆さんがご存じのように「二酸化炭素」という空気を吸い込み、そして、わたしたち動物のほとんどが生きていくために必要な「酸素」という空気をつりだしてくれます。

 これは、植物には、太陽の光のエネルギーを使って、二酸化炭素の中の「炭素」と「水」を合わせて、植物の本体(からだ)にして成長する力(光合成)があるからです 。

 

太陽の光と森林

・ 二酸化炭素と地球温暖化問題・異常気象の多発

 いま、昔からの人間の生産活動(おもに、石油や石炭など、地中から掘り出された燃料を燃やすこと)により大気中の「二酸化炭素」が増え続け、地球上の大気や海水の温度を上昇させる一要因と認められています(地球温暖化)。

 地球温暖化がすすむと、食料の生産(農業や畜産業)を不安定にしたり、広い範囲に病気が発生したりすることが予想されています。

 また、大雨や洪水、干ばつなどの異常気象の発生による被害が多く発生することが予測されています。

 人間以外の生物にもその影響は大きく、多くの生物の絶滅が心配されています。

【身近な地域での、気温上昇データ】  

 気象庁のデータから、日光市今市の気温変化をグラフ化してみました。

 年ごとの平均気温だけでは変化が激しく、経年変化の傾向がわかりにくいので、「移動平均」という表現方法を使って赤い線 で示してみました。

  日光市今市でも、最近の約30年間で、年平均気温が約1度上昇していることがわかります(約10.5度から11.5度)。

  グラフには現していませんが、年の最高気温では、約3度も上昇しています。

  

・ 森林にかけられる、わたしたちの未来

 健全に成長している森林は、二酸化炭素中の「炭素」を取り入れ続け、樹木の体そのものに変えていきます。

 その活動の結果、森林は大気中の二酸化炭素が増えすぎるのを防いで、地球温暖化によってもたらされるかもしれない様々な災いから私たちを守ってくれるものと期待されています。

 しかし、森林が二酸化炭素をより多く取り入れてくれるようにするには、森林整備が必要と言われています。

 

 森林の木々たちは、伐採されたあとに木製品として加工されたあとでも、長い年月の間、二酸化炭素の炭素分を木材そのものとして固定し、大気中に二酸化炭素が放出されるのを防ぎ続けます。

 健全な森林の保全や育成のみならず、木製品の多量かつ長期的な利用も大切な要素です。

 

・ 森林の炭素分は、ただ循環するだけなのでしょうか?

  近年、「カーボンオフセット」という言葉をよく耳にします。

 カーボンとは、炭素のことです。

 地下から掘り出した石油や石炭に含まれる炭素を燃やして、大気中に放出すると、その放出された炭素は自然に地下へ戻ってはいきません。

 それに対して、樹木などの植物に含まれる炭素を燃やし、大気中に放出した場合、その炭素は再び植物によって吸収され、循環していきます。

 このような、循環する炭素の使い方を「カーボンオフセット」と呼びます。

 

 さて、では炭素を吸着する植物、なかでも多くの炭素量を吸着する樹木が増えれば、大気中の二酸化炭素は減っていくのでしょうか?

 どんな長寿の樹木も、いつかはその寿命が尽き、枯れてしまうことでしょう。

 枯れてしまった植物は、腐敗・分解され、そのときに再び二酸化炭素を空気中に放出するので、結局は大気の成分は植物によっては変えられない、と思われるかもしれません。

 

 しかし、約三十億年も前には、地球上には、ほとんど酸素がなかったということです。現代、大気中の約20%を占める酸素のほぼすべては、植物によってつくられたということです。

 植物が作り出す酸素の原料は、二酸化炭素(炭素と酸素が結びついている気体)の中の酸素ですから、残された炭素はどこかへ行ってしまったということになります。

 

 では、一度植物に吸着された炭素はどこへ行ってしまったのでしょう?

 

 冷たい海底や高原で腐敗せず(腐敗は微生物の活動によるものなので、低すぎる温度のなかでは、植物は腐りません)、そのまま化石となっているものもあるでしょう。

 また、火山が噴火したときに、火山灰などに埋もれて眠っているものもあるでしょう。

 実際に、珪藻土(けいそうど)という、家の壁材や七輪などに使われる土があり、それは昔、植物プラクトンの死骸が積もってできたものです。

 石油なども、古代の生物の死骸の層が変化したものだという説もあります(ただし、この説には異論も多くあります。)

 

 でも、もっと身近なところに、その大きな答えがあります。

 森の中で足元を見てみましょう!!

 

地面

 森林の地面には落ち葉や枯れ枝が落ちています。

 そして、それらが様々な生物によって分解され、土壌になります。

 枯れてしまった植物の体が、土壌へと分解される間に、その分解する生物たちの呼吸によって、ほとんどの炭素が二酸化炭素として大気中へ戻ってゆきます。

 それでも、長い長い時間をかけながら、ほんの少しずつ、確実に炭素は地面へと蓄積されていくのです。

 

 この土壌が、炭素を固定する形として、極めて大きな要素であると言えるでしょう。

お問い合わせ

県西環境森林事務所

〒321-1263 日光市瀬川51-9

電話番号:0288-21-1178

ファックス番号:0288-21-1181

Email:kensai-ksj@pref.tochigi.lg.jp